横浜映画ボーイ

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【映画感想】「ドント・ブリーズ」 6点/10点 【ネタバレ】

 

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映画 『ドント・ブリーズ』 予告

 

 

 

あらすじ

親と決別し、街を出るため逃走資金が必要だったロッキーは、恋人のマニーと友人のアレックスと一緒に大金を隠し持つと噂される盲目の老人宅に強盗に入る。だが彼は、目は見えないが、どんな“音”も聞き逃さない超人的な聴覚をもつ老人――そして想像を絶する<異常者>だった。

真っ暗闇の家の中で追い詰められた若者たちは、怪しげな地下室にたどり着く。そこで目にした衝撃的な光景に、ロッキーの悲鳴が鳴り響く――。 彼らはここから無傷で《脱出》できるのか――。

 

感想

ブルク13のレイトショーを見たが、ホラー映画なのに満員だったことに驚いた。

感想としては物語の着地点でしらけてしまった。

今作ではsave the catでいう「家の中のモンスター」という物語の型を採っている。これは閉じた空間の中で人間の欲が招いたモンスターに人間達が襲われ、そこから何とか逃げ出す、というものである。ハリウッドのホラー映画はこの型をよく採用する。ただしこの型には大きな問題があって、発端となるのが欲をかいた人間側にあるので人間達が襲われても観客が自業自得だろと冷めてしまうという危険性がある。それを避けるためには人間側を上げモンスター側を下げなければならない。そうしなければどっちもどっちか、最悪、人間の欲に対して怒ったモンスター側に報復の道理があると観客が判断しかねない。

今作では

発端となる人間の欲=「強盗」

モンスター=「イラク帰還兵の老人」

密室=「老人の家」

狭い家を広く使うためのアイデアとして老人が盲目であるという設定を採っている。

そして、主人公は劣悪な家庭環境という汲むべき事情を抱え、またアレックスは計画に乗り気でない立場をとることで人間側が単純に悪いようには描いてはいない。また一方では老人は女を地下室に監禁して自分の子供を生ませようとする異常性で一層の悪であるように描いている。

人間の欲、それに招くモンスター、そして密室、人間側を善の方向へ、モンスターを悪の方向へ、「家の中のモンスター」のセオリーどおりだなと見ていた。物語の着地点としては、強盗に乗り気でなかったアレックスが生き残るか、ロッキーが改心するかとどちらかだろうと見ていたが、結論としてはどちらでもなかった。ロッキーは老人を倒し、奪った金を持って密室から逃げた。そしてロッキーは妹とともにカリフォルニアに逃げ、老人は警察に救出される。強盗の被害がなかったと警察に証言しながら。

さてこのセオリーどおりではないエンディングをどう判断すべきだろうか。老人は金はやるから地下での件は黙っていろとロッキーに暗に伝えたのだろうか。しかし「金と沈黙の交換」が成立していればアレックスは殺されることはなかった。発端となった強盗の償いがされることもなく、モンスターもまた死んでいない、いわば引き分けに終わったわけだが、この着地点に私はかなり白けてしまった。なぜならそこに続編ありきのビジネス判断が働いているように感じてしまったからだ。

ここからは完全に私の想像だが、今作の作り手達が今回の着地点を採ったのは、それが物語的に正解だからではなく、続編を作る予定があるというビジネス的に正解だったからではないか。なぜ強盗の罪を決着させなかったのか、老人は死ななかったのか、そして何より何故「妹」が存在しているのか?妹が存在する必然性は今作にはない。それは続編で老人の手からロッキーが妹を守る話がしたいからなのではないか。まあ、考えすぎかもしれないが。